ソロ(1)デビュー

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  • ちょっと思い浮かべてみてください。前田敦子や大島優子というような、眩いばかりのきらめきを持っていた二人がツートップだったAKB48、子供から大人まで、誰もがメンバー全員の名前を言えた、安倍なつみや後藤真希という稀有のスターが在籍していた全盛期の頃のモーニング娘。しかし、大人の女性としてアイドルから女優やソロの歌手に転向すると、かつてほどの人気を保てず、なかにはゴシップでしか名前を見ないくらい活動もうまくいかなくなるケースも。アイドルグループがソロ(1人)になると、急速に輝きが失われてしまう時がある。それはなぜなのか。

     

    周りがいてこそ、輝くタイプがある。それがグループのセンターの宿命。

     

    現在放送中の連続テレビ小説「べっぴんさん」で、子供を育てながら主人公の子供服づくりを手伝う健気な女性を演じている「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子。時代背景が戦後というのも手伝ってか、いつもの八重歯を見せた笑顔は封印されやや疲れた印象すらも受ける。しかし、ももクロのメンバーと一緒に登場し、歌い踊ればファンからの「かなこぉ↑↑」コールも引き立つ、唯一無比のアイドルとして君臨する。

     

    これを身近な例に当てはめると、学生時代にクラスで人気があったタイプの女の子と言えるのではないか。10代までのモテは、ポテンシャルというよりも本人の気さくさや、積極性、昔で言う「愛嬌」みたいなものに左右されている場合も多い。いや、多いと思わせてくれ。そうではないと、自分みたいなモテなかったタイプは報われない。

     

    つまり、その他大勢のクラスメイトが周りにいることで、笑顔がデフォルトのような、男子をあだ名で呼ぶような、適度に男子の趣味に合わせた会話ができるような、そんなソツがない女の子が、スーパーモテするのではないのだろうか。

     

    人生ゲームだったらもう家を買って、車に乗って、子供も二人いるような年齢になった我々だが、少し前はmixi、ここ数年はfacebookと、自分の過去を知る人からのエゴサーチは逃れなれない。同じ学校を出ている同級生をフォローしようなら、芋蔓式に発見される。そんな時、「あれ、これクラスで人気あった〇〇ちゃんでは?」 と現在の姿を発見する。

    華やかな部活をやっているわけでもない。帰り道に学校でモテるバスケ部の男子が一緒に歩いているわけでもない。その写真に写るのは、何もないただの30代の女性。

     

    アイドルもきっとそうだ。吸い寄せられるようにパワーを得て、実物以上に光り輝く時がきっとあるのだ。レベルは違えども、学生時代のモテるタイプだってそう。

     

    誰もが、団体や集団ではなく一人になって気付く。いや、もっと早くにさ、学生の頃に気づいてくれた男子生徒もいても良かったんじゃないの? って思う。みんな揃って右向けみたいな状態で、同じ女の子を可愛い、好きと言う。そんな男子たちのふるまいを見て、まったく誰からも相手にされず、存在を消すように学生生活を送るタイプもいる。

     

    かつて集団の中で輝いていた女性を思い出す。今は、周りに左右されなくて自分一人でいい。自分そのもので判断される生き方ができて、存在を消す必要がなくなった。

     

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    RIZENE IKEMORI

    RIZENE IKEMORI

    ライター&脚本家。「絶叫2」(オリジナルホラービデオ)、グラドル浜田翔子原案・監督「一瞬と永遠」脚本担当。書籍やweb媒体を中心にライターとして活動。趣味はプロレス観戦。

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