1時に授乳、3時に授乳、5時に授乳で一休み

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  • 結婚する前の自分の日記を読み返したら、「暇」という文字が目に飛び込んできた。

     

    最近、意識が高い系の女性誌の特集で目にしない日はない「投資信託」や「FX」という文字。あの日に戻られるのなら、「株」や「FX」ではなく「暇」だった自分の時間を未来へ投資したいとすら思う。

     

    乳児がいる主婦にとって、時間ほど足りないものはない。よく仕事の時間配分が悪いケースに「タスクを可視化しろ」とアドバイスを受けるが、育児に達成感のあるタスクはない。

     

    赤子は泣く。泣かない子もいるかもしれないが、おもちゃのようにスイッチを切れば泣き止むようなことはなく、ひたすら泣く。育児雑誌だって読んだし、ネットの掲示板だって調べまくった。先輩ママにだって聞いた。「どうすれば泣き止むの?」。答えなんかない。泣き止むときは泣き止むし、半日泣きっぱなしの時だってある。

     

    1時に授乳、3時に授乳、5時に授乳で一休み。7時にまた起きて授乳し、ゴミ捨ても。これを可視化しろと言うのか。

     

    この際、言わせてもらえるのなら、「時間」が欲しい。買えるのだったら、他人の余っている時間だって欲しい。睡眠時間、一人でカフェに行く時間、美容院へ行く時間。いくらあっても足りないくらい。

     

    夫を「旦那ちゃん」「夫くん」などとSNSに書くような、共働きかつ「私が嫁にいってあげた系」の女性なら、ゴミ捨てだって夫に頼めるし、時期が来て保育園に入園できれば、職場に復帰し、外の空気だって吸えるのだ。

     

    世の中には、復帰できる職場もなければ、子供が入園するまで自宅で育児をしなければならないという専業主婦もいるのだ。何もすべてが「保育園落ちた日本死ね!」ではない。夫が出張で家を空けても、自分が高熱でも、家事も育児も一人でこなさなければならない女性もいるのだ。「いまどき専業主婦なんて、幸せだよね」と世間から言われても。

     

    「育児が大変だったら、家事はアウトソーシングすればよい」「一時保育やファミサポだって利用すればいい」と、育児アドバイザーからも勧められた。それを利用できれば自分の時間は捻出できるが、許されない環境下にあるのだとは言えず、また子供と二人きりの時間を過ごす。

     

    SNSに愚痴でも書けば、なんでも「自己責任」と糾弾される息苦しい時代に、たまたま出会った好きな人と結婚し、子供を産んだ事が「相手をよく選ばなかったから」「自分が戻れる職場を残しておかなかったから」と結果論を押し付けられる。

    時間があれば、精神的な余裕も生まれるのに。

    子供を生んでから、何度もそう感じた。仕事が早帰りデーで、暇だと書いていたあの頃の私に伝えたい。「一日好きに過ごしていいよ」と、自由になる時間を与えられるのほど、ありがたいギフトはないのだと。

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    RIZENE IKEMORI

    RIZENE IKEMORI

    ライター&脚本家。「絶叫2」(オリジナルホラービデオ)、グラドル浜田翔子原案・監督「一瞬と永遠」脚本担当。書籍やweb媒体を中心にライターとして活動。趣味はプロレス観戦。

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